2021 年コロナ禍、オリンピック直前の頃
“流されるまま過ごしてきた僕らは、いよいよその姿を見つめ直さなければならない”
田畑稔は旅行代理店に勤める真面目なサラリーマン。コロナの影響を受け、仕事は行き詰まっている。更に、2 年前にやっとできた子供は早産でそのまま亡くなってしまい妻の菜種とは、そこからうまくコミュニケーションが取れていない。そんな稔にとってデリヘル嬢の〝姫〟は、心の拠り所となっていく。姫もまた、コロナ禍で会えないまま亡くなった母への想いを抱いていた。二人は急速に惹かれ合うのだが…
向き合うことを避けてきた人々が、新たな潮目で、ぶつかって露わになる想い。それぞれが抱える”ちゃんと”という形を、理解しようとすることで見える、これからの景色。